読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

まとめサイトの喧騒を離れて… TIF2016 ガンダム前広場のユルリラポ

 

ユルーく、リラックスポップを歌うことをコンセプトに昨年結成された癒し系ガールズユニット「ユルリラポ」。彼女たちの名前が一躍世間に知れ渡ることとなったのは、メンバーの美貌や良質な楽曲からではなく、残念なことに週刊文春が報道した同事務所に所属する先輩タレント小倉優子の旦那とメンバー馬越幸子との不倫スキャンダルからだった。

元々5人組だったユルリラポは先日人気メンバーふたりが脱退、新メンバーひとりを加え4人組として再スタートしたばかり。5人時代の歌割りや振り付けも再編成し直し、大イベントTIFで新体制をお披露目しようとする直前の騒動は、元々グループの知名度が低かったことも有り、下世話な興味だけを集めることとなってしまった。

公式ウェブサイトやブログも一時期閉鎖、馬越はすぐに契約を解除され、一部で告知されていた企業絡みのイベントもキャンセル、このままTIFも出演することなくフェイドアウトしてしまうのではなかろうかとの観測も流れるほどだった。

そんな現在のユルリラポはトリオ編成。キャリア10年を超えグラビアをメインに活動、数々のユニットでのCD発売経験もある昭和生まれのベテラン小田あさ美。元prediaメンバーで美脚がトレードマーク、透き通った儚げな声質がユルリラポのポップな良曲に彩を与える村上麻莉奈。そして関西出身でNMBメンバーになることを夢見ていたもののオーディション選考に落選、それでもアイドルになる夢を諦めきれず上京、先日新加入したばかりの阿比留夏海。

初めての大舞台、スキャンダルによる好奇の視線、急な歌割りの変更、さらにステージに立った経験僅か1日の新メンバーetc.etc.傍から見ても尋常でない3人の緊張感が伝わる中、彼女たちは懸命にTIFでのパフォーマンスをこなした。

その初々しい緊張感、そして傷を負った人間ならではの哀切さは、結果的にユルリラポのカラフルなポップスに深みを与えることとなった。そして3人を盛りたてようと、ギッシリ聴衆で埋め尽くされたお台場のガンダム前広場に僅かな援軍であるヲタクも集結。普段の定期公演などでは彼女たちのユルい雰囲気に引っ張られ、コールもおざなりなのだが、この日は何とか3人をサポートしようと必死に声を上げる。

僅か15分、3曲の持ち時間。最後に披露されたのはデビューシングルのカップリング曲「きっと夢は叶うから」。

 

“きっと夢は叶うはずさ

だから君はいつも前を向いていて

君がいつも笑っている

それが僕のチカラになる”

 

あさみん、まりにゃん、あびるん。そしてユルリラポを去っていったにゃろちゃんも、れなしも、さっちゃんも…。みんなの夢がきっと叶うことを信じて、深々と頭を下げた後ステージを去るメンバーに、ヲタクは精一杯の拍手を贈るのだった。

まとめサイトの喧騒を離れて… TIF2016 SMILE GARDENのPASSPO☆

今年は3日間に渡って開催され、数々のアイドルが出演、様々なトラブルはあったにせよ、大盛況の中幕を閉じたTOKYO IDOL FESTIVAL2016(略称TIF)。しかし過去最大総勢300組以上の中、第一回の2010年から連続で出演し続けているアイドルは10組にも満たない。そんな栄枯盛衰の厳しい競争社会を生き抜いた数少ないグループの一つがPASSPO☆だ。

メインステージの一つSMILE GARDENには初日の夕方登場。ここで披露されたセットリストは、アイドル戦国時代と称されたブーム勃興期から現在に至るまでシーンの中心に居たベテランPASSPO☆ならではの非常に物語性に富んだものだった。

まず歌われたのはメジャーファーストシングルであり彼女たちの最大のヒット曲でもある「少女飛行」。デビュー当時は中高生だったメンバーも全員成人となり、大人として(プロとして)の辛苦を味わい尽くしたであろう彼女たちだからこそ“まだ夢を見ていたくてオトナになんてなれなくて”というフレーズは、発売当初本当に彼女たちが無垢な少女だった頃より一層聴く者の心を打つ。

2曲目はインディーズ時代から歌い継がれる人気曲「Pretty Lie」。パッセンジャーと称されるPASSPO☆ファン以外にも知られるお馴染みの曲に会場は大いに盛り上がった。

続いて歌われたのは3年前発表されたアルバム「JEJEJEJET!!」の最期を飾った「I」。2009年のデビュー時からのグループを振り返り、メンバー同士で絆を確かめ合い互いを鼓舞しあうエモーショナルな楽曲だ。“ずっとずっと一緒だから… もっともっと強くなるから…” “STAY GOLD 待ってる人がいる 叶える夢がある”という歌詞は、当初のメンバー9人(当時)の思いを込めたものだが、TIFで歌われると全てのアイドルそしてアイドルファンへのエールのように思えた。

 

そしてこのステージでのセットリスト自体が全アイドル、そしてアイドルファンに向けたメッセージなのだと確信したのは、続いて歌われた「TRACKS」のイントロが鳴り響いたときだった。

 

ベストアルバムの表題曲でもある「TRACKS」は昨年の元日をもってPASSPO☆を旅立った人気メンバー奥仲麻琴に向けた応援歌であり、振り付けにも応援団の演武の動きが取り入れられている。ストリングスとハードなギターの厚味のあるバックトラックにのったメロディアスな歌は、人気曲にも関わらずあまりにも「まこっちゃんの」というイメージが強すぎたこともあって、彼女の卒業以後は約1年に渡って封印されてきた。その為再びこの歌を解禁する際、リーダー根岸愛は原曲の一部を新たな詞に書き換え、奥仲だけでなく過去に辞めていった3人のメンバーの思いを引き継ぐものとした。

 

“一緒に繋いできた この想いを背負って”

 

新たに加わった歌詞によって、「TRACKS」は原曲に込められた奥仲ひとりだけでなくPASSPO☆三人の卒業メンバーの想いを背負う曲へと進化した。さらに今回初めてTIFで披露されたことにより、かつて時代を共有したライバルであり仲間でもあった全ての解散・引退したアイドルへの想いを背負った聖歌へと昇華したのだった。

 

短いステージの最後に歌われた最新シングル「バチェロレッテは終わらない」は、独身最後の夜に女仲間で開くパーティを歌うこれまでのアイドルソングに無かった斬新なコンセプトの楽曲。お台場の野外ステージに響き渡るカラッとしたギターサウンドに乗せて歌われる結婚してもずっとPASSPO☆で居たい、そしてずっとアイドルで居たいという、明朗さの中に微かなセンチメントが混じる歌には、グループの未来だけでなくアイドルブームの未来も託されている気がした。

 

“めちゃくちゃ騒ごう踊ろう 嬉しいのになぜか 涙出ちゃうんだ”